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【電験法規計算問題】過去問を20日で攻略「水力発電所の発電出力を求める問題」(2日目)

2019年7月27日追記
問題解説を追加しました。水力発電の計算の注意事項のまとめも追加。
2021年1月15日追記
2つ目の公式(流量を別に変換した式)に記号が見えなくなっていた件について、修正。電験マガジンからメールを下さった江原さん、ありがとうございました!!(感謝の気持ちは質問の回答等でお返しします!)

 

「水力発電所」に関する計算問題

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本記事では「水力発電所の発電出力を求める問題」の計算をマスターして頂く。


水力発電所出力の公式を覚えているだろうか。

理論水力という考え方に「水車効率」と「発電機効率」を考慮することで、実際の出力により近い出力値を算出することができる。


過去問に挑戦して、苦手だなと感じる人はいきなり計算問題に取りかかるのではなく、公式チェックや解説読みを先にやってみるといいだろう。


馴染みが出てくると、自ずとどうやって解けばいいか想像がつくようになる。

 

公式チェック

まずは水力発電所の出力の公式から紹介する。

 

P=9.8HQ× ηw × ηg

 

・有効落差:H (m)
・流量  :Q (m3/s)
・水車効率:ηw
・発電機効率:ηg



次に、上記の公式を別の要素(使用水量)に置き換えた公式に変換してみよう。こういった工夫が試験本番で役立つ。

 

 

W=9.8H(V/3600)× ηw × ηg

 

・発電使用水量:V[m3]
・有効落差:H[m]


なんでこの置き換えをわざわざしたのかというと

水力発電の出力計算に必要な「流量」が与えられていない問題が出題されるからだ。この変換ができることで、使用した水量から流量を算出できるようになったことも認識しておくといい。


※勘違いしやすいので、この二つの公式の違いを明確にしておく。

まず、二つの式は「単位」が違う。(久しぶりに問題を解くと、混乱する)


P:kW

W:kW・h

両社の関係は「W=P×t」だ。

つまり、Pという出力でt時間運転する場合、Wという発電電力量を提供できるということだ。


※電力積算量で考えると、もっと分かりやすくてイメージしやすいだろう。

Pという出力はあくまで1時間あたりの発電出力量。5時間運転すれば、5×Pという電力量を系統に提供したことになる。

電力量計に記録されるのは「W」だ。

 

 

 

 

それでは問題を紹介する。
本記事では、応用問題を解く際にも活用できる基礎問題を2問解説する。


実力を測りたい方は初見で解けるか、挑戦してみて欲しい。

 

 

「調整池式水力発電所」問題①

有効落差100mの調整池式水力発電所がある。河川の流量が10m3/sで安定している時期に、毎日図のように15時間は発電せずに全流量を貯水し、9時間だけ全量消費した発電を行った場合、発電電力[kw]はいくらか。

ただし、水車と発電機の総合効率は85%とする。

 

解説

答えは 22241[kW] だ。



この問題を解くコツは
「まず問題文を整理すること」にある。


整理さえできれば、与えられた数値を公式に入れるだけだ。

P=9.8HQ× ηw × ηg



「15時間発電せず貯水する」という文章がある。15時間分の貯水は9時間で全て使用される。

しかも、発電している9時間の間も河川からの流入は止まらない。




分かりやすい日本語で表現すると



「15時間の貯水を9時間で使い切る」

       +

「継続して流れ込んでくる10m3/sを使う」

 


これを満足する出力を求めればいいわけだ。




実際に問題を解いていこう。

10m3/sの15時間を9時間で使用となると

(10×15)÷9=16.7 (m3/s)


補足
16.7(m3/s)で9時間流れる水の量と10(m3/S)で15時間流れる水の量は等しい。


16.7(m3/S)+10(m3/S)=26.7(m3/S)


P=9.8×100×26.7×0.85=22241[kW]

「調整池式水力発電所」問題② 

有効貯水容量600000m3の調整池の全貯水量を、有効落差100mの水力発電所で使用した場合の発電電力量[kW・h]の値として、正しいのは次のうちどれか。発電所の総合効率は90%とする。

 

(1)104000
(2)124800
(3)138000
(4)147000
(5)156000

 

解説

答えは(4)だ。

この問題の鍵は「発電電力量」だ。

※たまによく分からなるので、この記事にまとめておこうと思う。

発電出力と電力量は決定的に違いがある。


発電出力に「時間」をかけたのが電力量だ。
 

公式を覚えていれば問題ないが、忘れてしまったときのために概念は理解しておこう。応用問題で出題された時の対応力になる。※


※問題集によっては、発電出力の公式を使って電力量を求めていたりする。(発電出力の公式の流量を「貯水量/時間(S)」に置き換えたのち、時間をかける。この辺りが混乱するので、電力量は電力量の公式として覚えておくと間違いにくくできる。)


公式としては下記の式を使う。

W=9.8H(V/3600)× ηw × ηg


発電所の総合効率は「ηw × ηg」のことを示す。

式に与えられた数値を代入すると、147000[kW]が求まる。

 

まとめ

以上、 過去問を20日で攻略「水力発電所の発電出力を求める問題」(2日目)の記事となります。

水力発電の計算が苦手な方は苦戦したのではないでしょうか。


解答を見ると簡単なのですが、解こうとすると意外にも手間取ります。



注意点をまとめておくと

①公式の流量は「m3/秒」
②公式の有効水頭は「m」
③総合効率は「水車効率+発電機効率」
④発電出力×時間が「電力量」となる

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