2019.8.23追記
需要率、負荷率、不等率を使ったオリジナル問題を追加。ステップを踏んで学ぶことができる。
需要率・負荷率・不等率
これらは電験法規の計算問題で出題され、算出しなくてはいけないものだ。
問題文に解説もなく、いきなり「需要率を求めなさい」といったように出題される。
すでに「負荷率」については前回の記事(【電験法規】日負荷曲線・日負荷持続曲線、負荷率の問題を極める(8日目) - 電験法規完全攻略)でがっつり勉強したので計算できるようになったと思う。
今回は「需要率」と「不等率」。
これらの定義をきちんと捉えよう。
需要率とは何か
「設備の最大稼働の度合」を示している。
言葉だと少しわかりにくいですが、式で書くと分かりやすい。
「需要率=最大需要電力/設備容量 ×100」
電気設備は1日中使っていないし、フルパワーで稼働することもない。定負荷の設備もあるが、大半の電気設備は負荷変動がある設備だ。
つまり簡単に言うと
需要率というのはどのくらい設備を利用するのかを示した指標である。
需要率が低すぎるのであれば、オーバースペックであることがわかる。また、もし負荷を追加するようなことがあった場合に、まだ負荷を持つことができると判断する指標にもなる。
需要率を求めていない場合は危険だ。
需要率が100%が近かった場合、負荷をさらに追加してしまうと、ピーク需要時には過負荷になってしまうからだ。
そのために需要率は求めておく必要があるのだ。
不等率とは何か
「最大需要電力に対する最大需要電力の和」
式に直すと
「最大需要電力の和/最大の合成需要電力 ×100」
言葉で覚えようとすると、かなり記憶に残りにくい。
自分はこの不等率が何故必要なのか、理解してから覚えやすくなった。
その前に、分母を理解しよう。
「最大の合成需要電力」
これは1日の時間帯の中で一番電気が使われる時間帯の電力需要を足し合わせたものだ。
次に、分子を理解しよう。
「最大需要電力の和」
複数ある負荷の最大需要を単純に足し合わせたものだ。
よく勘違いをする方がいるが、下記の説明が分かりやすいだろう。
最大需要電力=「負荷Aの1日で最も大きい需要電力」+「負荷Bの1日で最も大きい需要電力」+「負荷Cの1日で最も大きい需要電力」・・・
不等率の実際の話
不等率とは各負荷の最大電力消費する時間がどれだけ分散しているかを表したものだ。
不等率は必ず1以上で、大きければ大きいほどその負荷群に電力を供給するための設備容量は小さくて済むということ。
わかりやすいのが「マンションや工場」
電力を最も使う時間帯には、かなりのばらつきがあることが想像つくだろう。
逆に、商店街は電力需要がほぼ不変。(おじいちゃんおばあちゃんは決まった時間に寝る。夜中は寝ている)同じような時間帯に電気を使うような場所では不等率は小さくなる。
この不等率は、配電系統に設置する変圧器の容量を決定する際などに用いる。
こういった目安の指標がないと、変圧器設置は難しい。各場所(住宅街、商店街など)について目安の値を電力会社は持っている。
それでは問題を解いていきましょう。
問題①
設備の合計容量が500kWで最大需要電力が250kWであるとき、需要率はいくつになるか。
問題②
問題①の条件で、年間の消費電力量が1800000kW・hであったとき、年負荷率は何%か??
問題①解説
「需要率=最大需要電力/設備容量 ×100」
公式をそのまま使える問題だ。
250/500×100=50%
問題②解説
最近の電験法規も難易度が確実に上がっている。問題①のような問題で終わり・・という問題はなくて、必ず問題②まで問われると考えておくといい。
負荷率の問題は先日配信した記事(【電験法規】日負荷曲線・日負荷持続曲線、負荷率の問題を極める(8日目) - 電験法規完全攻略)で学習したが、覚えているだろうか。
「負荷率=平均電力/最大需要電力 ×100」
この公式を使って、負荷率は求める。
しかし、今回の問題では「平均電力」が与えられていない。
平均電力は下記のように算出する。
年間の消費電力量(1800000kW・h)を365日×24時間で割る。そうすることで、1時間あたりの消費電力量の平均が求まる。
1800000/(365×24)=205.5kW
次に、負荷率を算出する。
負荷率=平均電力/最大需要電力×100
=205.5/250 ×100
≒82
よって、年負荷率は82%。
問題③
負荷A,Bを持つ変圧器がある。下記の負荷曲線を持つ場合、需要電力の不等率はいくつになるか。
負荷A
0時~ 6時:1500kW
6時~18時:1000kW
18時~24時:1500kW
負荷B
0時~ 6時:3000kW
6時~18時:4000kW
18時~24時:3000kW
問題③解説
「最大需要電力の和/最大の合成需要電力 ×100」
この公式はかなり間違いやすいので注意がいる。
まず覚えておいて欲しいのは
「不等率は1を必ず超えること」
分かりやすく言うと
「分子が必ず大きくなるのだ」
間違えないように見出しを付けて、きっちり分けて説明する。
最大需要電力の和
最大需要電力の和とは
時間帯に関係なく「負荷の最大電力量を足し合わせた値」である。
負荷Aの最大需要電力は「1500kW」
負荷Bの最大需要電力は「4000kW」
従って、5500kW。
最大の合成需要電力
最大の合成需要電力とは
「負荷AとBの需要電力の和」の最も値の大きい時間帯の需要電力である。
【0時~ 6時】
=1500kW+3000kW
【6時~18時】
=1000kW+4000kW
【18時~24時】
=1500kW+3000kW
6時~18時が最大の合成需要電力であることが分かる。
よって、不等率は
5500/5000×100=1.1
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